こんにちわ、Ki-Tsu-Neです。
蟹工船と言えば昭和初期に活躍したプロレタリア文学家・小林多喜二の代表作です。この「蟹工船」、今年に入ってから20万部以上も売れているそうです。
平積み <蟹工船>今年20万部超す ワーキングプア問題で社会現象
(毎日新聞)最近、たまたま私は
青空文庫で「蟹工船」を読んだのですが、この作品がこんなにも注目されているのには驚きました。
話は、オホーツク海で操業するタラバガニ漁船での過酷な労働、労働者に対する非人道的な扱い、死と隣り合わせで働く労働者達が延々と語られます。そして、最後に漁船の労働者は「サポタージュ」という形で監督や雑夫長達に抵抗する姿が描かれます。
漁船での様子は、まさに悲惨の一言。監督達。ひいては蟹漁を取り仕切る資本家は、弱い立場にある労働者に残酷な扱いを与えてゆきます。現代ではさすがにここまでの扱いはされないでしょう。でも、下層の労働者は働けなくなってしまうと、今でも何の保証も無く職場からほおり出されてしまう訳ですから、ある意味あまり違いは無いのかもしれません。
さらに、この小説の中では、シベリアに住む人たち(ソビエトに住む人たち)は労働者の国の住人として生き生きと描かれていましたが、蟹工船が書かれてから約80年。我々はソビエトがどうなったかを知っています。人々は平等だったはずのソビエト連邦はいつの間にか階層社会が出来上がり、共産党の上層部が下層の労働者を搾取し続け、社会全体の動きが硬直化した為に崩壊してしまったのです。単に労働者が立ち上がればワーキングプアが解決する訳ではないのです。多喜二が今の世を見たらどんな話を書くのでしょうか?
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