007カジノロワイアルと言うと、007と言いながら全くの別物という印象が強い事で映画ファンには知れ渡っているタイトルです。なにしろ、「監督が5人いる」とか「主人公がピーター・セラーズ」だと聞くと、いくら原作がスパイアクション物でもその方面への期待は萎むというものです。実際、一般でも「ドタバタコメディ」の評価が下されています。私は未見なのですが、B級映画をこよなく愛するKi-Tsu-Neとしてはいつかは見なくてはいけない作品なのでしょう。
イアン・フレミング原作の「カジノロワイアル」だけが何故ドタバタ映画になってしまったのでしょう。どうも、007シリーズの映画化を手がけていた制作会社が、これの映画化権利を押さえられなかったからだと言われます。そのため、この「カジノロワイアル」は、007シリーズとは番外になっております。
しかし、この程、007シリーズ最新作として「カジノロワイアル」が制作されました。普通ならば、「40年ぶりのリメイク」などと言われ、最近のハリウッド映画のトレンドに沿った動きなどと思われそうですが、製作サイド(ちなみにソニーピクチャーズ)からすると古い方は無かった事にしたい位だと思われます。
さて、作品自体の話です。007シリーズはアフリカの核廃棄施設に潜入したり、月面基地に行ったり、結構スケールの大きな話が多いのですが、この話は「テロリストの資金をマネーローリングしている人物をポーカーで破産させる」というものです。何となく地味な話のような気もしますが、アクションシーンもそこそこ有るし、カジノのシーンも静かながら緊迫感が出ていて、私は楽しめました。
しかし、ヒロインの人物像が十分に練られていないせいか、物語があるポイントを過ぎてからはストーリーの骨格が「ずぶずぶ」になってしまったようです。このシリーズの場合、ボンドガールは伝統的に添え物扱いなのですが、ジェンダーフリーの現代において、そんな伝統を残すというのもいかがなものかなとも思いました。
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